かかりつけ歯科医が取り組む、小児の咬合育成
永久歯の歯並びが完成するのは、中学生になる頃です。つまり生まれて約12年間で一生の歯並びがほぼ決まります。この間の正常な成長過程が、正常な歯列につながり、正常な軌道から外れると、歯列不正につながります。成長過程に出てくる異常を、早期に見つけ対応することで、多くの歯列不正を予防できることが分かってきています。
この大切な時期に、かかりつけの歯科医と積極的に関わることで、歯列や、咬合を良い方向に導けます。
高齢者のお口を調べると、多くの歯が残っている人は、歯列や咬合が良好という報告があります。歯並びが良いと、高齢者になっても、自分の歯でおいしく食べられると云う事です。さらに云うと、良い歯並びの人は、多くの歯が残りやすいと云えます。
つまりそれは、12歳の時の歯並びが、一生涯の財産になるということです。
歯並びの5つの成長ステージ
- 〇乳歯列期
3歳頃までに乳歯だけの歯列が完成します。乳歯は、全部で20本 - 〇第一大臼歯萌出期
小学校入学頃。乳臼歯の奥に、6歳臼歯が生えてきます。 - 〇上下切歯交換期
小学校低学年。上下の前歯8本が乳歯から永久歯に生え変わります。 - 〇側方歯交換期
小学校高学年。残りの乳歯12本が生え変わります。 - 〇第二大臼歯萌出期
中学生。6歳臼歯の奥に生えてきます。(通称12歳臼歯)
最も重要なのは、上下切歯交換期。小学校に入学する頃の適切な処置・指導で、正しい歯並びに誘導できます。この時期に歯並びを正常にすることが一つの目標です。
正常咬合への成長を妨げる、原因。
- ●スペース不足
顎と歯の大きさのアンバランスです。歯が顎に比べ大きいケース。逆のケースはあまり見られません。 - ●萌出異常
生え変わり期の、位置、方向、角度の不具合です。この不具合が、この後の顎の成長阻害に関与します。特に前歯での、反対咬合で顕著です。 - ●習癖・クセ
指しゃぶり、舌癖、嚥下癖(飲み込み方)や、鼻疾患からくる口呼吸。頬杖や姿勢。 - ●骨格性
遺伝的。実際は、あまり多くはないと思います。
処置としては、習癖指導、拡大床(入れ歯様の装置)、レジン接着法、歯列矯正などを施します。
大事なことは、3歳から小学校入学頃に、歯科医院に定期的に受診する事。この時期に、かかりつけの歯医者さん、を見つけてください。
2017.02.14 広瀬 俊