自家歯牙移植術は、保存不可能で要抜歯の欠損部位に対し、智歯が存在する場合、治療計画の一つとして検討する価値がある。古くからの治療法でありながら、歯根吸収という大きな問題を抱え5年も持てば成功と云われた時代もあります。
自家歯牙移植術の成功の大きな要因には、移植歯の歯根膜にあり、健全な歯根膜を有する歯根では歯根吸収は起きず、生着した従来の歯と同様に扱って差し支えないと言われている。
ポイントは3つ
- T.移植歯の歯根膜の損傷を抑える
- U.歯根の形態と、移植床(抜歯窩)の形態を合わせる。
- V.抜歯から移植までの時間を短くする
Tについては移植歯の抜歯の際、エレベーターの使用や歯根膜注射を避ける注意が必要
Uについては、移植歯と移植床の骨壁の間隙が1o以下であれば速やかに線維性骨が増殖し、3〜5mmでは数週間要し、5mm以上だと骨の増殖が困難と云われる。
Vでは、1分以内がひとつの目安で、乾燥予防に、生理食塩水?歯牙保存液への浸漬が必要である。(できれば口腔外出さずに移植する)
最新の治療法に、術前にCTレントゲン画像から移植歯の形態を複製(レプリカ)して、移植歯の抜歯前に、レプリカを用いて移植床の形態を整え抜歯後ただちに移植できるようになって飛躍的に成功率を誇っている。
2013.5.30 広瀬