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院長コラム

老化の学説・仮説

米国アンチエイジング医学会:American Academy of Anti-Ageing Medicine監修の書籍から・・・

私たちは、常に「老い」に対する治療法を探し続けています。
老化については多くの学説があるが、科学はそれに関する普遍的な学説を、今だ、生み出していません。一般的に、老化は種の保存を守る為のメカニズムであると科学者達は信じています。種の観点からすれば人生で最も重要な時期は生殖期、つまり新しい生命を作り出す期間。よって自然の摂理に従うと人間は40歳を過ぎる頃からそれほど役に立たなくなります。結果として、多くの身体的機能が低下し始め、その後は機能低下が著しくなります。

なぜ、年をとるのか?
最近の老化学説は「老化はプログラムされている」「老化は非本質的なものである」この2つのテーマを中心に展開されている。

老化に関する仮説
老化学説の前に、理論的老年医学が基礎としている仮説を確認する

◯老化は発達である。人は年齢的ではなく発達的に成長する。実年齢と生理的年齢は異なる。

◯生理的老化と病的老化は異なる。病的老化とは遺伝、生活習慣病等から招く老化。生理的老化とは異なる。

◯長寿は近代医学とテクノロジーの賜物である。医学の進歩により、若さを長く保てるようになった。

老化の一般的学説
基本的な老化学説を4つ説明します。どれも十分ではないが、老化過程の一側面について捉えていると考えています。

消耗(すりきれ)説
この学説はオーグスト・ワインスマン博士(ドイツ)が1882年に発表。身体・臓器・細胞が酷使・過労により損傷すると信じた。食物や環境内の毒素、脂肪、砂糖、カフェイン、アルコール、ニコチン、紫外線、ストレスが臓器に限らず細胞レベルまで消耗すると考える。また高齢になって身体の修復機能(抵抗力・新陳代謝等)が衰えると消耗(老化)が顕著になることも唱えています。 またこの説は、アンチエイジング的な行動(サプリメント、治療等)で、身体の修復機能を向上させることが老化を防ぐことに役立つことも示しています。

神経内分泌説
神経内分泌系(ホルモン)に焦点を当てて消耗説を追求したもの。 ホルモンは身体機能の修復・調節に必要不可欠である。老化はホルモン産生能を低下させ、身体機能の修復能力も低下させます。ホルモン産生は他のホルモンと相互作用があり、全体的なホルモンレベルも低下します。 アンチエイジング療法のホルモン補充療法は身体のホルモン時計のリセットを助け、老化を防ぐ。 もし、ホルモンが若者と同じレベルになれば、細胞は刺激され代謝が活性化され若さを保つことが出来ると考えています。

遺伝子コントロール説
この説は、DNAにコード化された遺伝子プログラミングに焦点を当てている。 気味の悪い推論をすれば、人間は自己破壊をあらかじめプログラミングされて生まれてくる。 アンチエイジング医学は細胞のDNAに対し「基本構成を増強」「損傷を予防」「修復を増強」することによってこの問題に迫ります。遺伝的運命から逃れることを、ある程度は手助け出来るものと考えています

フリーラジカル説
1954年R・ゲルシュマンによって発表。 フリーラジカル=自由電子は、他の分子と反応すると非常に不安定で破壊しやすい性質を保有する分子の総称で、従来の分子とは異なる。フリーラジカルによる損傷は、酸化つまり錆びさせることです。 酸化の有害作用を予防する物質を抗酸化物と云い、自然の物ではビタミンC、ビタミンE、βカロチン。オリゴメリック・プロアンソシアニジン複合体(OPC)は抗酸化物質の特殊型でフラボノイド(植物系)に属する。 細胞を損傷するフリーラジカルと闘うOPCの能力は、酸化ストレスを発生する全ての疾患の予防にも有効である。他にフリーラジカルによる損傷に有効な物質にフリーラジカルスカベンジャー(捕捉剤)があります。これはフリーラジカルを探し求め、害を及ぼす前に結合する。多くのビタミン、ミネラル等はフリーラジカルスカベンジャーとして老化と闘っている。

その他の老化学説
◯老廃物蓄積説……老廃物が正常の細胞機能を妨害する。
◯細胞分裂数の限界説……老廃物が細胞分裂の回数に影響を与える。
◯ヘイフリック限界説……ヘイフリック博士が細胞内に含まれた生体時計で老化が調節されていると唱えた。
◯殺人ホルモン説……DECO(酸素消費を下げるホルモン)がニューロン減少を起こす可能性。
◯胸腺刺激説……胸腺の委縮が免疫系を弱める。
◯ミトコンドリア説……フリーラジカル攻撃を受けやすい
◯故障と修復説……DNA修復システムが不完全で、これの蓄積によるもの
◯余剰なDNA説……遺伝子に蓄積された損傷
◯架橋説……1942年に提唱。硬化症(皮ふ、腱等)コラーゲンの架橋形成が多くなり委縮、硬化。
◯自己免疫説……タンパク質と抗体を区別する能力が低下。免疫系が自己破壊性になる。
◯カロリー制限学説……「栄養不良なしの低栄養」が老化を遅らせる
◯遺伝子の突然変異とDNA損傷説……DAN損傷が老化の原因
◯生活速度説……生活速度(代謝、呼吸量、心拍数)と体重と寿命の三角関係
◯秩序から無秩序説……性的成熟ごエネルギー産生が減少して無秩序が分子内で起り組織に損傷を引き起こす。
◯テラメラーゼによる老化説……将来有望な学説。テラメア(染色体の末端から伸びた核酸配列)が分裂を繰り返すと短くなり、加齢により細胞障害、細胞死につながる。消失するテラメアを再構築する酵素テラメラーゼを発見。細胞の寿命をコントロールできると思われている。

アメリカアンチエイジング医学会の、人口統計についての見解。

多くの人口統計学者や老年医学者は人間の最大平均寿命は85歳ぐらいであり、これは将来も変わらないと提唱している。老年医学者は単に死亡率に焦点を合わせて最大寿命を計算することから長い間抜け出せずにいた。
アメリカアンチエイジング医学会(A4M:American Academy of Anti-Ageing Medicine)は、人の平均寿命は前もって決められておらず、限りあるものでも不変的なものでもないと考えています。将来的な予測に基づく新しい寿命モデルを進んで使用し、過去のモデルを基にした平均寿命予測はただちに不要とするのがA4Mの見解である。 A4Mが1995年より進めた技術人口統計学説では、バイオメディカルの発展を十分に享受することで120歳以上の健康長寿が可能と考える。これは現在生存している人間に直接もたらされる結果です。

参考図書
革命アンチエイジング  若々しく美しく元気に生きる  
監修:米国アンチエイジング医学会:American Academy of Anti-Ageing Medicine:A4M
西村書店 

2017.06.30 広瀬 俊


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